2019年のアイカツ!

2019年、東京に引っ越してきた。

仕事の都合(転勤)によるものだ。用意された住居の関係もあって、23区外の西東京に住んでいる。23区外とはいえ2年ぶりの首都圏なので、旧交を温める機会が多くなった。そんな中で北大西洋条約さくらさんに勧められてアイカツ!Amazon Prime Videoで見始めた。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%84%EF%BC%81/dp/B01M28LOMO/ref=pd_ybh_a_43?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=VSTXK187HRH8DQEN5HZ5

最初は冗談で見始めたので、適当なところでフェードアウトしようと思っていたのだが、1日1話ずつ見ていくと段々クセになってきた。いや、それではちゃんとした説明になっていないのだが、キャラクターに深みを感じるようになってきたのだ。

基本的にはカードで遊ぶアーケードゲームの販促アニメである。アイカツ!世界におけるアイドルの地位は高く、劇中のマスコミは常にアイドルに注目している。主人公・星宮いちごは瞬く間にスターダムにのし上がる。スターライト学園にはあれだけ生徒がいるのだから、きっとまるで注目されずに終わる子も少なくないだろうに。また、彼女たちは中学生なので、一般的に言ってかなり低年齢層のアイドルばかりということになる。まあ、その辺は気にしだしたらきりがない。

twitterのログを遡ると、第1話「私がアイドルになっても?」を見たのが8月25日。

星宮いちごは神崎美月のステージを見てアイドルにあこがれ、親友の霧矢あおいとともにアイドル養成学校・スターライト学園に転校する。王道の導入だ。2話「アイドルがいっぱい!」でいちごは美月と言葉を交わすのだが、美月はアイドルの競争の厳しさをいきなり突きつける。新入生を蹴落とさんとする態度だ。この容赦のなさが神崎美月というキャラクターである。正直、彼女の際立ったキャラクターが視聴継続のキーだった気すらしてくる。キーだけに。

 

 3話「あなたをもっと知りたくて」の感想もこれ。

ご存じの通り、「三浦瑠麗」は自分にとって最大級の誉め言葉である。決して他意はない。

5話「ラン!ランウェイ!」は自分の推し、紫吹蘭さんの登場回なのだが、当時の感想には言及がない。

8月末には北大西洋条約さくらさんから言及をいただいている。

 自分が軍人だったら嬉しくなるような誉め言葉である。

12話「We wish you a merry Christmas!」、有名な「斧回」だが、このあたりからストーリーがかなりはっちゃけ始めた記憶がある。その直前には有栖川おとめが登場しているので、彼女に象徴されるアイドル概念の広がりがストーリーに奥行きをもたらした、と考えられるのではないか。

16・17話「ドッキドキ!!スペシャルライブ」は前後編であり、再びいちごと美月の関係性に物語が戻ってくる。ここまでのいちごの成長を美月にぶつける回だ。この関係はまだまだシリアス。

20話「ヴァンパイア・スキャンダル」は前回で登場した藤堂ユリカがアイドルとしての立ち居振る舞いに苦悩する。この話が20話にして登場するということはそれまで登場してきたアイドルたちは自身とキャラクターのギャップに悩まなかったのだ。恐るべき天才たちである。しかし、ここで藤堂ユリカが等身大の人間として立ち上がってくる。有栖川おとめとは逆の意味でストーリーを広げる回だった。

23話「アゲハなミューズ」。ここでは以下のような感想があり、自分が完全に紫吹蘭推しになっていることが分かる。

蘭について話しておきたい。モデル志望の彼女は本作の「キレイ系」枠である。豊かな髪と長身が目を惹くが、その真の魅力は飾らない言動だ。率直な言葉と調和するストレートな言葉遣い。彼女は役割語を使わず、断定的な凛々しい言い方をする。女性らしい魅力にあふれた容姿とその言動のギャップは、確かに霧矢あおいの名付けた通り「美しき刃」だ。

26話、第3クールに入ったところでOP・EDテーマが一新され、いちごたちも2年生に進級する。北大路さくらも登場し、また新たな個性が輝く。そこで再び美月が物語を引っ張っていく「トライスター」エピソードが始まるのだが、バラエティー番組のノリで神崎美月が仏頂面をしている様子はほぼ松本人志である。それはともかく、34話「Hello☆スーパーアイドル」に登場する一ノ瀬かえではどうしても唐突感が拭えない。その印象を引きずったのか、終盤まであまり魅力が伸びなかったように感じられた。

さて、この一連のエピソードでは紫吹蘭が苦悩し、選択を強いられる。自分としても見ていてつらかった。35話「涙の星」ではまんまと泣かされている。

先述した彼女の飾らない魅力は、美月中心で彼女に合わせることを強いられるトライスターでは発揮できなかったのではないか。今から考えるとそれが根本原因だったように思う。

余談だが、紫吹蘭の代わりに吸血鬼キャラをトライスターに加えた神崎美月のセンスはちょっと常人には理解しがたいものがある。正統派アイドルユニットではなかったのか。

紫吹蘭さんの触手モノもはさみつつ、

終盤について触れたい。最終回にかけては、いちごの母・星宮りんごの隠された秘密なども織り込みながら、やはり神崎美月と星宮いちごの関係性に回帰する。ここまで、星宮いちごはヒロインとしての性格付けからストレートにアイドルへの道を歩んできたわけだが、ここで迷いが生じる。そして涙なくしては語れない最終回につながっていく。50話、1年間という時間をかけて蓄積されたものがあったからこその展開といえるだろう。視聴者として、1年間駆け抜けてきたいちごに「一休み」を与えたくなる気持ちが生じたのだ。だからこそ涙と笑顔でいちごを見送るあおいたちの姿に自信が重なって見える。文句なしのいい最終回である。

とりとめのない文章になってしまった。自分のアイカツ!1期の振り返りとしては、いちごと美月の異常な関係性と紫吹蘭の本当の魅力を強調したい。私は現在2期を視聴中である。やや強引な2期の導入に戸惑いはあるが、この違和感をどう消化してくれるのか、今後に期待したい。